2024年9月17日(火)
太田昌克の視点
『太田昌克の視点』
平和戦略で論戦を 問われる外政力
2024年9月13日(金)放送分より
自民党総裁選、立憲民主党代表選がそれぞれ告示され、選挙戦が続いている。
両選挙戦で論戦の主要テーマになっているのが「政治とカネ」いわゆる裏金問題と、経済だ。外交安保で候補者は日米同盟強化と日本の防衛力増強の重要性を主張している。ただ一方で欠落しているのはアジアにおける平和構築の戦略だ。
大切なことが2つある。まず、中国とどう向き合いながら意思疎通をすることによってこのアジアにおいてどう持続可能な平和を築いていくのか。そしてもう一つは何と言っても北朝鮮だ。日本人拉致問題と核・ミサイル問題の具体的な解決への道筋が今のところ、どの候補者からも聞こえてこないのが残念である。
「外交の岸田」と言われながら日中外交は停滞し、北朝鮮情勢は史上最悪の状況だ。拉致被害者の家族からは「真剣に向き合ってほしい」との声も出ている。
抑止力はもちろん重要だが、軍事力だけではとても不十分である。このエリアで隣国と軍拡競争が起こるような事態は何としても避けなければならない。アジアの冷戦を固定化してはならないのだ。次の新総裁はしっかりとこのエリアの「平和戦略」を国民に示してほしい。
最後にオーストラリアの外交史家ジョセフ・M・シラキューサ氏の言葉を紹介したい。
「外交は依然として厄災に対する最初で最後の防衛戦」。日本の外政力がいま、問われている。
※このコーナーでは、BS11の報道番組で放送した内容を元に記事にして掲載しています。
一部情報は掲載の時期によって更新されることもありますので、予めご了承ください。
▶️ 番組を見逃した方は・・・

報道ライブ インサイドOUT
毎週月~金曜日 よる9時00分~9時54分
【第5金曜日】鈴木哲夫の永田町ショータイム

太田昌克の視点
番組キャスターで共同通信編集委員、ジャーナリストの太田昌克が取材したネタを中心に、独自視線で語るコーナー。毎月第2・第4金曜日放送中。