2025年1月 6日(月)
太田昌克の視点
『太田昌克の視点』
2025年 石破首相に立ちはだかる3つのハードル
2024年12月27日(金)放送分より
石破首相が2025年に乗り越えなければならないハードルは3つある、と太田昌克は見ている。
まず1つ目は、12月27日に閣議決定された2025年度予算案の成立。
1月下旬から始まる通常国会で衆院、参院で審議されるが、なんと言っても2月末までに衆院通過させないと年度内成立は危うくなる。2月末までに通過できれば予算案の議決を巡る衆院の優越で、今年度内に新年度予算の成立が図れる。ただ、衆院予算委員長は野党・立憲民主党の安住淳前国対委員長。国対の裏の裏を知り尽くした永田町の政治巧者、ある意味「くせ者」だ。
石破政権を支える閣僚経験者によると「安住さんは場合によっては予算案の採決に条件を付してくる可能性がある。たとえば、政治とカネの問題で安倍派のキーパーソン、森喜朗元総理の証人喚問を要求してくる恐れもある」と警戒する。おそらく2月にこの「政治とカネ」の問題もクライマックスを迎えるのではないか。
これに関連して2つ目ハードルはおそらく6月にある東京都議選。
東京都議選は4年に1度、参議院は6年に1度で、来年は都議選と参院選が重なる12年に一度の巳年である。2001年、24年前の巳年の森喜朗首相時代に何があったか。内閣支持率が上がらず「森降ろし」の風が吹き、都議選の3カ月前に無念の退陣。「自民党をぶっ壊す」を掲げた小泉純一郎首相の新内閣が誕生した。こうした過去の経緯を踏まえると、都議選までに石破政権の支持率が上がらなければ厳しい状況を迎える。まずは国民の生活を底上げし、トランプ氏や習近平氏との大国間首脳外交で成果を見せ、その上で「政治とカネ」の問題で決着をつけないと支持率回復は望めない。都議選までの支持率回復が二つ目のハードルとなる。
最後、3つ目のハードルは参院選で自公の改選過半数を確保できるかどうか。
仮に自公が議席を大きく失うようでは、1998年の参院選で退陣した橋本内閣と同じような展開になることも十分あり得る。カギはここでも「政治とカネ」だ。企業・団体献金の禁止について石破首相は今のところ企業側にも「表現の自由」があるとしているが、国民の多くは納得していない。
首相に近い閣僚経験者は取材に「思い切って企業・団体献金を禁止すべき。総理に進言する」と最近語った。石破首相が年明け、どのような判断をするのか、注目したい。
※このコーナーでは、BS11の報道番組で放送した内容を元に記事にして掲載しています。
一部情報は掲載の時期によって更新されることもありますので、予めご了承ください。
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番組キャスターで共同通信編集委員、ジャーナリストの太田昌克が取材したネタを中心に、独自視線で語るコーナー。毎月第2・第4金曜日放送中。