2024年7月17日(水)
太田昌克の視点
『太田昌克の視点』
崖っぷちのバイデン氏 背景にエゴと矜持
2024年7月12日(金)放送分より
アメリカ大統領選挙で再選を目指すバイデン大統領は、今月11日の記者会見で選挙戦からの撤退を改めて否定し、「まだやるべきことが残っている」と選挙戦を戦い抜く決意を強調した。
ところが、この会見の中でバイデン大統領は、ハリス副大統領をトランプ前大統領と言い間違える失態を犯し、記者会見に先立つ会合でもウクライナのゼレンスキー大統領をロシアのプーチン大統領と紹介し、直後に訂正する場面も。
先日の討論会、今回の会見と失態続きのバイデン大統領。西側指導者の中にはバイデン氏の能力に疑念を抱く者も表れたとの米メディア報道もある。
討論会後に太田昌克が接触したバイデン陣営へのある大口献金者は「討論会は今朝あったドナー会合でも不評だった」と述べ、改選を控える一部民主党議員からも「バイデン降ろし」の狼煙があがっている、という状況だ。
にもかかわらず、なぜこれほどまでに再出馬に固執するのか。バイデン氏をよく知る元側近は、要因の一つに「政治家バイデンのエゴ」がある、と私に指摘したことがある。
バイデン氏は「自分以外にトランプに勝てる候補はいない」と信じている。裏を返せば、合衆国憲法の理念に背を向けるトランプ氏をたたきのめすことが、自らの責務であり宿命だとする「政治家バイデンの矜持」、強烈な自負がある。
とはいえ、法の支配や同盟を軽視してきたトランプ氏が返り咲けば、リベラルな戦後国際秩序は毀損しかねない。共和党大会は週明けから始まり、非常に重要な局面を迎える。バイデン氏本人と家族、最側近は再考を迫られているだろう。
※このコーナーでは、BS11の報道番組で放送した内容を元に記事にして掲載しています。
一部情報は掲載の時期によって更新されることもありますので、予めご了承ください。
この放送があった翌々日、トランプ前大統領を狙った暗殺未遂事件が発生しました。
民主党の選挙戦略も見直しを迫られる事態となっています。
この点に関しては、後日の「視点」で解説していきたいと思います。
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番組キャスターで共同通信編集委員、ジャーナリストの太田昌克が取材したネタを中心に、独自視線で語るコーナー。毎月第2・第4金曜日放送中。