第3回  伊勢 参宮道に陽が落ちて

伊勢 参宮道に陽が落ちて 第3回

お伊勢さん。
はじまりは飛鳥の時代。1300年の歴史に想いをはせ、郷愁に浸る。
やがて心の静寂が訪れる。"日本人のこころのふるさと"とはよくいったものだ。穏やかな気分で参拝。さてと散策だ。
宇治橋から五十鈴川に沿って続く美しい石畳の通りには、切妻・入母屋・妻入りなどの古く格式高い商家が軒を連ねる。おはらい町の一画にある小さな造り酒屋「伊勢萬 内宮前酒造場」。この酒蔵から伊勢唯一の地酒"おかげさま"が生まれる。店頭には地酒が味わえるスタンドスペース。
それでは、自慢の"おかげさま"をいただこう。まろやかですっきりした味わいだ。 夕暮れが近づいた。さぁ、居酒屋に向かおう。
「一月屋」は元漁師の主人が営む老舗居酒屋。この通称"げつや"は常連客に神主さんなど、お伊勢さんらしいお客が多いと聞く。
おすすめは夏でも冬でも"湯どうふ"だ。
きざみネギとたっぷりのかつお節がのった幻の一品は、徳利の一杯をしみじみうまいと感じさせる。
心から幸福な気持ちになった・・・。

<太田和彦さんが訪ねたお店>
起矢食堂
三重県伊勢市尾上町5-31

一月家
三重県伊勢市曽祢2-4-4

虎丸
三重県伊勢市河崎2-13-6