第5回  鎌倉 路地裏の愉しみ

鎌倉 路地裏の愉しみ 第5回

日本ではじめて武家政権が誕生した古都・鎌倉。
街を見おろす創建736年の「長谷寺」は四季折々の花木に彩られ、"鎌倉の西方極楽浄土"と呼ぶにふさわしい風情だ。相模湾と鎌倉の街並みを一望しながら歩く"あじさいのこみち"は極楽浄土にいっそうの美しさを添える。
さぁ、路地裏散策といくか。かつては茶道具店だった古民家で味わうのは江戸前の細切り"二八そば"。そば前に酒と肴をちらりとやって、
〆にそばをすする。辛めのそば汁がたまらない・・・。
ふたたびふらりと路地裏へ。鎌倉彫の名門店「寸松堂」だ。モダンで力強い造形の作品は、見事な酒器を生み出してきた。この職人技には驚嘆だ・・・。
夕暮れもせまった。いざ、居酒屋。藤沢の名店に足をのばす。
「酒肴彩 昇」のご主人は、名居酒屋「久昇」の板場を20年近くつとめてこの店を開いた。
きりりときれいな味の"〆鯖"はおろしたてのわさびがツンツン香り、わさびを大切にする姿勢が感じられる。
"あさりと大根の沢煮"はあっさり妖艶な大粒あさりと大根好きをくすぐる千六本にゴマ油をきかせた塩味出汁おつゆでいただく。
名料理を肴に今夜も盃を重ねる・・・。

<太田和彦さんが訪ねたお店>
段葛 こ寿々(だんかずら こすず)
神奈川県鎌倉市小町2-13-4

ザ・バンク
神奈川県鎌倉市由比ヶ浜3-1-1

企久太(きくた)
神奈川県鎌倉市小町2-9-14 植山ビル2F

酒肴彩 昇(しゅこうさい しょう)
神奈川県藤沢市鵠沼石上1-3-10 添田土地藤沢ビル2F