第13回  八丈島 黒潮の恵みと島酒を味わう

八丈島 黒潮の恵みと島酒を味わう 第13回

東京の"亜熱帯地区"「八丈島」。
黒潮の真っただ中に現れたこの"ひょうたん"のような島は、温かくてきれいな海と美しい自然に囲まれた"夢の国"だ。あゝ、極楽、極楽...。
さて、散策といくか。この島では焼酎造りが昔から盛んだ。現在は5つの焼酎醸造所がある。幕末に密貿易の罪で流刑となった鹿児島の商人が"さつま芋"から酒を造り、島民に芋焼酎造りを教えたことが八丈島の焼酎造りのはじまり。昭和初期になると原料となる芋の確保が難しく、島の蔵元は麦を原料とした芋麦ブレンド焼酎と麦焼酎を造りはじめる。このような歴史を経て現在では芋、芋麦、麦の3種類の焼酎を愉しむ独自の文化が生まれた。
少し腹ごしらえ。「あそこ寿司」は、創業50年を超える老舗の郷土料理屋。おすすめ"漬けの島寿司"は魚の種類によって漬け込む時間を変えるので最良の漬け時間で味わえる。わさびの代わりに"洋からし"で握るのも独特の風味だ。
夕暮れとともに居酒屋へ。郷土料理「梁山泊(りょうざんぱく)」は東京を代表する名居酒屋。まずは、"明日葉ビール"。"くさやチーズ"との相性が抜群だ。八丈"島酒"のおともには、小粒の青唐辛子を潰して浸した醤油で食べる"黒潮の刺身"。独特な食べ方に加え味も最高。気分は爽快だ。
お次は、島オクラを板すりした"ネリ"。しゃきっ!とした噛みごたえにさわやか風味とネバネバ美味。島の人情にふれながら郷土の肴に酒はすすむ。八丈民謡"しょめ節"を耳にのむ"島酒"はまさに情けの味か...。

<太田和彦さんが訪ねたお店>
あそこ寿司
東京都八丈島八丈町三根361

梁山泊(りょうざんぱく)
東京都八丈島八丈町三根 1672