第20回  富山 水よし・酒よし・肴よし

富山 水よし・酒よし・肴よし 第20回

"山の外にある土地"の意味で"外山"と呼ばれたことが「富山」のゆえんであると言われる。三方を急峻な山々にかこまれた、この壮大な自然が織りなす景観は、本当に美しい。なるほど"外山"とはよく言ったものだ。散策ついでに路面電車で"岩瀬"へ。"岩瀬"は江戸から明治時代に栄えた北前船文化が色濃く残る港町。歴史的な建物も多く、土蔵群は深い趣がある。「そば屋 丹生庵(にうあん)」は富山の名水を使った手打ちそばの名店。絶品手打ちそばをいただく前に、そば前で"満寿泉(ますいずみ)"をちらりとやる。昼めしにそば前とはちょっとした贅沢だ。富山駅近くに店を構える老舗居酒屋「親爺(おやじ)」は富山の名店。名物の"おでん"は関東・関西の長所をとりいれた富山風。深海の珍魚におかずたっぷりの"げんげ汁"は絶品中の絶品だ。特製大ちろりで注がれるお燗のコップ酒が、はらわたにしみわたる...。少し歩くと本日2件目の「米清あら川」だ。昆布〆王国の富山ならではの郷土料理が愉しめる。なかでも炭火に板昆布を敷いた"牡蠣の昆布焼"がおすすめ。味はもとより昆布のパリッとした素揚げがすばらしい逸品だ。魚の胆や皮を巧みに使った"珍味三種盛"は富山名酒をぐんぐん進ませる。"水よし、酒よし、肴よし"北陸富山の味を存分に愉しむのだ。

<太田和彦さんが訪ねたお店>
丹生庵
富山市東岩瀬町336

親爺
富山市桜町2-1-17

米清あら川
富山市新富町1-3-19