第26回  別府 湯けむり散歩と郷土の味

別府 湯けむり散歩と郷土の味 第26回

源泉数、湧出量ともの日本一を誇る温泉都市「別府」。
「鉄輪(かんなわ)温泉」は、別府八湯と呼ばれる温泉街のひとつ。湯けむり立ちのぼる景観は、重要文化的景観に選定されている。「一遍上人の像」にお参りだ。一遍上人は、鎌倉時代の僧侶。猛り狂う地獄地帯を鎮め湯治場として開いたのが「鉄輪温泉」の始まりと伝えられている。次なる湯けむり散策は、「竹瓦(たけがわら)温泉」だ。明治12年の創設。当初建築されたものは竹屋根藁葺きで、その後の改築で瓦葺きとなったため「竹瓦温泉」の名称がついたと伝えられている。さて、"砂湯"体験をたっぷり愉しもう。
昭和30年に創業した「チョロ松」の店主は2代目の女将。少し古びた小料理屋のおもむきが、懐かしさを感じさせる。
郷土料理の名物は"かも吸"。鴨肉、ごぼう、とうふ、こんにゃく、細ネギなどの具がゆらゆらと煮えている。出汁の塩加減も絶妙だ。酒は国東(くにさき)が誇る銘酒"西の関"。六郷の山々に湧き出る名水と豊穣の地で育つ美味しい米から造られる。"名水あるところに銘酒あり"。次なる名店は「こつこつ庵」だ。ホーロー看板、古ラジオ、柱時計などの昭和コレクションが天井までを埋めつくす。まさに博物館の様相だ。大分名物の"琉球"は福岡のごま鯖のようなものだが、ここのは関鯵・関鯖で上等だ。"だんご汁"は、縄のようによれた太いうどん。ご主人絶対の自信作でじつに旨い。酒はもちろん大分麦焼酎の"鉄輪(かんなわ)"をカボス入りロックで。

<太田和彦さんが訪ねたお店>
チョロ松
大分県別府市北浜1-4

こつこつ庵
大分県大分市府内町3-8-19