第28回  岡山 西洋の情緒といにしえの城下町

岡山 西洋の情緒といにしえの城下町 第28回

今なお古き良き町並みが残る、いにしえの城下町「岡山」。
岡山藩の城下町として栄えた出石(いずし)町界隈は、モダンなレトロ建築など西洋の情緒も交えた見どころが多い町。城下筋を歩くと目にとまる「ルネスホール」は、大正11年の建築。もとは日本銀行岡山支店。古代ギリシャ様式の意匠が散りばめられている。正面の4本のエンタシス柱やコリント様式の柱頭飾り、壁の御影石など壮麗な外観だ。大正12年、禁酒運動のシンボル的存在として誕生したのが「岡山禁酒会館」。戦時中の空襲からも免れ大正ロマン建築は今も健在だ。でも禁酒か...。入りにくいな...(苦笑)。
夕暮れとともに居酒屋へ。「割烹さかぐち」は、昭和43年創業の郷土料理店。主人は、"岡山郷土料理研究会"も運営している。岡山名物の"ままかり"は生酢漬けと焼酢漬けで。圧倒的に具の多い"ばら寿司"は、サワラ・ままかり・穴子・ベイカなど新鮮な魚介類と旬の野菜が17種類も乗り、おだやかな瀬戸内の恵みと豊饒なる大地の恵みを象徴する。オランダ通りの一画に佇む「小ぐり」は、岡山の名割烹「美禄」や大阪で修業した主人が自分の名前を冠して開いた割烹料理店。箸を置いて並べた"長角盆"にその意気込みがうかがえる。長い巻紙に達筆な字で書かれたお品書きは毎日書く。旬のあらゆるものが並び目移りして困るのも愉しみのひとつか...。岡山銘酒とともに今夜もお酒談義に花が咲く。

<太田和彦さんが訪ねたお店>
割烹 さかぐち
岡山県岡山市北区表町3-8-22

小ぐり(おぐり)
岡山県岡山市北区表町2-6-27鳴門ビル 1F