第20回 南山城の至宝を訪ねて 浄瑠璃寺と海住山寺
京都府南部・木津川流域の南山城(みなみやましろ)地域に残る国宝を訪ねる。現在の木津川市にある瓶原(みかのはら)には奈良時代の一時期、「恭仁京(くにきょう)」という都が置かれた。その北側の山中に位置する海住山寺(かいじゅうせんじ)。鎌倉時代はじめに解脱上人・貞慶(じょうけい)によって復興された。境内には国宝の五重塔をはじめ、本尊の十一面観音菩薩立像を安置する本堂や、重要文化財の文殊堂がひっそりと残されている。また、奈良県との境に近い当尾(とおの)の里に立地する浄瑠璃寺は平安時代後期、浄土信仰のもとに造営された寺院で、本堂の国宝・九体阿弥陀堂は、12世紀のままに残る大変貴重な遺構である。九体の阿弥陀如来像がずらりと並ぶ光景は壮観で、境内の国宝・三重塔と共に必見。番組では当尾にある、心癒される石仏などにも立ち寄りながら、京都府南部・南山城にある至宝の数々の魅力に迫る。
解説:矢ケ崎善太郎(京都工芸繊維大学 准教授) 他