第49回  小倉 男気溢れる街の路地裏酒場

小倉 男気溢れる街の路地裏酒場 第49回

小倉は北九州工業地帯の中心地。かつては製鉄所で働く労働者たちが街に溢れ、活気みなぎる街だった。今でもそんな男たちが築いた文化が残る男臭い街。高倉健主演の任侠映画の舞台としても有名だ。「旦過市場(たんがいちば)」の「赤壁酒屋」で"角打ち"といくか。"角打ち"とは酒屋で立ち飲みすること。60年もの歴史ある角打ち老舗で昭和を感じながら、きゅっとやる。さぁて、居酒屋だ。「赤とんぼ」は小倉きっての名店。夜道に赤提灯と赤看板が目立つ。冬はフグ、夏はオコゼ。一尾をおろしたオコゼ姿造りは、大皿に頭を囲んで白身、皮、身皮(身と皮の間の脂部分)、肝、内臓とあらゆる部位が並び、それぞれがとてもおいしい。店名は、とんぼが羽を休めるように来て欲しいとの思いからつけたそうだ。さて、こちらも老舗の名店「武蔵」だ。広大な入れ込み座敷がすばらしい。壁の大きな品書は値段で分けられ明快だ。創業当時は、八幡製鉄の三交代勤務に合わせ、午後1時に開店していたそうだ。仕事を終えた男たちが昼も夜もここで疲れを癒したのだろう。今でも残る居酒屋の原点がここにある。

<太田和彦さんが訪ねたお店>
赤壁酒店
福岡県北九州市小倉北区魚町4-5-4

赤とんぼ
福岡県北九州市小倉北区鍛冶町1-8-11

酒房 武蔵
福岡県北九州市小倉北区魚町1-2-20