第1回  幻の九重塔の謎

幻の九重塔の謎 第1回

「京都には五重塔よりも大きな塔が存在した?」。
歌舞伎俳優・尾上松也が、古地図に描かれた巨大な塔の謎を探るべく、京都・岡崎の街を散策します。江戸時代に描かれた平安時代を再現した古地図には、当時の五重塔よりも高く描かれた塔がありました。その塔が描かれている場所は、現在は京都国立近代美術館や京都府立図書館など文化施設がひしめく京都市岡崎。松也は、古地図とともに岡崎の歴史をさかのぼっていきます。
まずは、今からおよそ140年前、明治9(1876)年に描かれた古地図。そこは畑ばかりで、都市のイメージは全くありませんでした。現在のような文教エリアとなるきっかけになったのは明治28(1895)年の第4回内国勧業博覧会。東京遷都以降の京都の低迷を活性化するための事業が行われるまでは、今とは全く違った姿だったのです。さらに時代をさかのぼると、慶応4(1868)年の古地図にはいくつもの武家屋敷が立ち並んでいました。幕府が終わり都が東京へと移ったことにより、武家屋敷が畑へと変わったことが分かります。江戸中期の古地図にも登場しない巨大な塔が姿を現すのは、1750年に作られた平安期を再現した古地図「中古京師内外地図」。ここには法勝寺に九重塔があったことが記されています。はたして、法勝寺そして九重塔があった場所は現在どうなっているのでしょうか。九重塔が作られた理由、無くなってしまった理由にも迫ります。

ゲスト:山田 邦和(同志社女子大学教授)