第5回  江戸のタイムカプセル『豪商の館・田中本家博物館』(長野・須坂)

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●江戸のタイムカプセル「豪商の館・田中本家博物館」へ。
日本の美術館の魅力を纏めた一冊の本『フランス人がときめいた日本の美術館』。著者でフランス人の美術史家ソフィー・リチャードさんのメッセージをヒントに、女優・藤田可菜が日本の美術館の魅力を再発見するトキメキの旅へ。今回は、長野県信州の須坂にある「豪商の館・田中本家博物館」が舞台です。

●広大な敷地面積にオープンした博物館。須坂吉向焼など貴重なコレクションを保存。
敷地面積は、なんと3000坪。平成5年、博物館として開館しました。田中家の原点は、江戸中期、初代・新八が穀物などの商いを始めたこと。その財力は、この地を治めた須坂藩をも上回るほどだったそうです。陶磁器の展示室には、江戸時代の織部や伊万里など多彩なコレクションが。須坂藩が日本でも指折りの陶工・吉向に作らせたという須坂吉向焼も並びます。

●婚礼衣装が見られる展示室で、時代の移り変わりを感じる。
田中家の往時を偲ばせる婚礼衣装。江戸からの昭和までの時代ごとの衣装の変遷が見られます。また取材時期は、雛人形を展示した特別展が開催。そこから見えてきたのは、280年にわたり守り続けた田中家の知恵と須坂藩主への想いでした。

●小林一茶も訪れた庭で四季を愛でる。
京都から庭師を呼び造らせたという日本庭園では、四季折々の花や風景を愛でることができる。その庭を一望できる客室には、田中家の「おもてなし」の心遣いが。俳人"小林一茶"も訪れた庭を鑑賞できる部屋には、一茶が滞在したときに書き残した句が残されていました。そんな田中家の「おもてなし」を味覚で感じられるイベントが開かれていました。目玉は、江戸時代の料理を再現した食事会。メニューは、当時食べられていたのと同じもの。器も江戸時代のものが使われていました。

「豪商の館・田中本家博物館」は、江戸時代から大切に受け継がれた品々、そしてその暮らしを見せてくれる魅力的なタイムカプセルのような場所でした。

紹介作品:染付山水中鉢 染付山水楼閣図大皿、染付宝相華文花瓶、磁製三彩湯呑、青楽亀置物ほか

取材協力:豪商の館・田中本家博物館