第20回  トルコ×ギリシャ『食の世界遺産と歴史的建造物を満喫する国境旅行』

国境ハンター:布川隼汰

世界の国境を歩いてみたら・・・ 二歩先を行く、魅惑の国境旅行。今回はトルコとギリシャ、そしてキプロス島を巡ります。ハンターは、布川隼汰。トルコ、ギリシャは、グルメ、史跡、絶景に溢れ、日本人の海外旅行先としても人気の国。われわれの心をくすぐる新発見がいっぱいの旅となりました。
まずハンターが訪れたのは、首都アテネに次ぐ、ギリシャ第二の都市、テッサロニキ。街をあるいて見つけたのは、小さな教会。ここでは、国境に近い都市ゆえの、ちょっと変わった歴史に触れました。教会の中に入ったハンター、すぐにあることに気が付きました。「壁に傷がいいっぱい付いてますけど。」実は、この教会、かつてはイスラム教のモスクになっていた時期がありました。1400年代、テッサロニキはオスマン帝国(トルコ)に占領された歴史があります。そのときに、オスマン帝国はキリスト教の教会をイスラム教のモスクへと変えていったのです。壁の傷は、イスラム教徒が壁に漆喰を塗る際に付着しやすくしたためだと言います。街を歩けば歴史に出会える、それが、ギリシャとトルコなのです。
さらに、両国のグルメも見逃せません。この旅では「食の世界遺産」にも出会いました。テッサロニキで、何か美味しいものが食べたいと聞き込みをしたハンター。街行く人に教えてもらったのは、シーフードレストラン。お店おススメの海鮮スープを頂きました。ムール貝やエビのダシがたっぷりと溶け出し、具沢山で濃厚な、味わい深いスープ。実はこれこそが、「食の世界遺産」だったんです。ユネスコの無形文化遺産に登録されている「地中海料理」です。本場で頂く地中海の海の幸は絶品でした!
食の世界遺産なら、トルコにもあります。それは「トルココーヒー」。500年以上の伝統があるというトルココーヒー。味は一般的なコーヒーと大きく変わらないのですが、その淹れ方が独特。銅や真鍮でできたひしゃく型の容器に深入りの極細引きのコーヒーを入れ、そこに水を注ぎます。お湯ではなくて水です。コーヒーと水を混ぜたら、熱した砂の中に容器ごと入れると、10秒程度で沸騰。コーヒーカップに粉ごと注いだら完成です。伝統と独特な文化が認められ、2013年に無形文化遺産に登録されました。
そしてトルコと言えば、世界三大料理として知られるグルメ天国!街中で食べ歩きしたドネルケバブ。日本でもおなじみのファストフードですが、そこは、やはり本場!味もボリュームも、日本のそれとはけた違い!さらに、トルコ風水餃子「マトゥー。」チーズやひき肉を小麦粉の皮で包んで茹でる。ここまでは、中国の水餃子とほぼ同じ。でも、そこに掛けるソースが、ヨーロッパ!なんとヨーグルトとミントなんです。食べたハンターの感想は「肉の旨味とヨーグルトの酸味が意外にもベストマッチ!」。これぞ世界三大料理の実力なんでしょうか?まさにアジアとヨーロッパがミックスした、トルコらしい料理でした!
さらにハンターはキプロス共和国へも足を延ばしました。キプロス共和国は地中海に浮かぶ島国。南側にはギリシャ系住民が多く住み、そして島の北側ではトルコ系住民が多く暮らし、独立を宣言。北キプロスという未承認国家を誕生させています。1つの島の中で、2つの文化、宗教、グルメを体感できるんです。
キプロスでもハンターをグルメ三昧。頂いたのはスブラギと言われる料理。肉と野菜を薄い生地で巻いた、ケバブに似た料理。ですが、南側と北側では、具の肉が違うんです。ギリシャ人が多く暮らす南では豚肉、鶏肉を。一方の北側では、ラム肉や鳥国が使われています。そう、宗教の違いで、トルコ系住民が多い北側では、豚肉は食べられないんです。両方の味を食べて比べてみるのもいいかもしれませんね。