第13回  優美な庭園・和風建築『三溪園』(神奈川・横浜)

japanese-museums_13 日本にはバラエティに富んだ魅力的な美術館があります。それを気付かせてくれるのは、フランス人の美術史家・ソフィー・リチャードさん。10年かけて日本の美術館を巡り、その魅力をまとめた書籍『フランス人がときめいた日本の美術館』が話題となっています。
そんな彼女のメッセージをヒントに、「トキメキ」の旅に出掛けるのは、女優・志甫真弓子。
横浜の谷あいに広がる、約5万3000坪の広さを誇る日本屈指の庭園「三溪園」が今回の舞台です。横浜「三溪園」は、生糸貿易により財を成した実業家 〝原 三溪"の住まいだった場所。三溪自身によって造成され、京都や鎌倉から歴史ある建造物を移築。1906年(明治39)に無料公開されました。集められた建物と自然あふれる庭園がみごとに調和しています。ソフィーさんは「三溪園」のことを、「優美な庭園が大のお気に入り。美しく保存された建物を見てまわるだけで楽しくなる」と記しています。室町時代に京都で建築されたものを移築した「旧燈明寺三重塔」など、17の歴史的建造物が巧みに配置されていて、そのうち10棟は重要文化財だそうです。100年に渡って守られてきた建物が集う、いわば、建築の美術館。そこには、創設者である、この家の主が生涯に渡り愛した、ある花があるといいます。清く美しく咲く姿に魅了された主の思いとは?芸術品の蒐集や芸術家の支援・育成を行ったという三溪。横山大観の「柳蔭」、下村観山の「弱法師」など近代日本画を代表する多くの作品が園内で生まれました。「三溪園」は、自然を、芸術を、人々と共に楽しむことを信条とした原三溪の思いが変わらず受け継がれている、そんな場所でした。

紹介作品:「旧燈明寺三重塔」「旧天瑞寺寿塔覆堂」「臨春閣」「聴秋閣」「鶴翔閣」、横山大観「柳蔭」、下村観山「弱法師」ほか

取材協力:三溪園