第15回  日本で初めて西洋美術を紹介『大原美術館(岡山・倉敷)』

japanese-museums_15 日本にはバラエティに富んだ魅力的な美術館があります。それを気付かせてくれるのは、フランス人の美術史家・ソフィー・リチャードさん。10年かけて日本の美術館を巡り、その魅力をまとめた書籍『フランス人がときめいた日本の美術館』が話題となっています。
そんな彼女のメッセージをヒントに、「トキメキ」の旅に出掛けるのは、モデルの松本愛。
白壁の屋敷や蔵が、当時のままに残されていて、まるで江戸時代にタイムスリップしたような倉敷・美観地区。そこに現れる神殿のような建物「大原美術館」が今回の舞台です。ここは、1930年、日本で唯一西洋美術を鑑賞できる美術館として開館しました。モネから直接買い付けた貴重な絵画など、日本と西洋との関係を示すエピソードが詰まった場所で、ギリシャローマの神殿建築を模したファサードが印象的な本館に始まり、モダンな建築様式の分館、古い蔵を再利用した工芸・東洋館の3つの館に分かれています。重厚な扉にアイアン窓。増改築はされていますが、90年前の姿をそのままに残している本館、入口ではロダンの彫刻が迎えてくれます。ルノワール、セザンヌ、ゴーギャン、モネの傑作「睡蓮」・・・名だたる印象派の巨匠たちの絵画が一堂に会します。これらのほとんどが大原美術館の所蔵であり、常設展示されているというから驚きです。いったい誰が、こんな素晴らしいコレクションを?そこには、実業家、大原孫三郎と新進気鋭の画家、児島虎次郎との知られざる物語がありました。さらに番組ではソフィーさんが「美しく保存された蔵に民藝のコレクションが調和する」と称している工芸・東洋館も紹介。大原孫三郎の思いを受け継いだその長男總一郎は、生涯、民藝運動を支援し続けたそうです。岡山県・倉敷に、日本で初めて西洋美術を紹介した大原美術館は、新たなアートを育て、今もなお成長を続けている、そんな場所でした。

紹介作品:クロード・モネ「睡蓮」、エル・グレコ「受胎告知」、マティス「マティス嬢の肖像」、ジャクソン・ポロック「カットアウト」、フレデリック 「万有は死に帰す、されど神の愛は万有をして蘇らしめん」、児島虎次郎「和服を着たベルギーの少女」、棟方志功「二菩薩釈迦十大弟子板画柵」ほか

取材協力:大原美術館