第33回  2度見する3作品『奈義町現代美術館』《岡山》~荒川修作+マドリン・ギンズ、岡崎和郎、宮脇愛子~

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●2度見する3作品「奈義町現代美術館」へ
日本の美術館の魅力を纏めた一冊の本『フランス人がときめいた日本の美術館』。著者でフランス人の美術史家ソフィー・リチャードさんのメッセージをヒントに、女優、野村麻純が日本の美術館の魅力を再発見するトキメキの旅へ。今回の舞台は、山あいの町にひときわインパクトのある建築で迎えてくれる「奈義町現代美術館」です。

●世界的建築家、磯崎新の構想のもとオープンした「サイト・スペシフィック」な美術館
2019年に建築界のノーベル賞と称されるプリツカー賞を受賞した日本を代表する建築家、磯崎新。奈義町現代美術館は、1994年4月25日に磯崎によって設計され開館。太陽、月、大地と名付けられた3つの展示室から構成され、各展示室を建築家と芸術家が共同制作しました。各々がこの土地の自然条件に基づいた固有の軸線を持ち、作品と建物とが半永久的に一体化したアートを体感できます。今、トレンドとなっている「サイト・スペシフィック」な現代アートの先駆けとなった美術館です。

●既成概念を打ち破った展示室で出会うアート
"大地の展示室"で出会ったのは、宮脇愛子の「うつろひ」。ソフィーさんは、『妖艶な雰囲気があり、ワイヤーは空中に描かれた線のよう』と示していますが、、、。さらに、"月の展示室"へ。そこで出会ったのは、岡崎和郎の「HISASHI 補遺するもの」。補遺っていったい?最後に向かったのは"太陽の展示室"。作品は、荒川修作とマドリン・ギンズが手掛けた「遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体」。上下が反転した空間を見て誰もが驚きの叫び声を上げるとソフィーさんが書いていますが、果たして旅人の反応は?

●二度、三度と見ることで感じ方が変わるアート
美術館のその場所のためだけにつくられたアートを感じるため、旅人が向かったのは、町のシンボル「那岐山」。館長おすめの中腹にある菩提寺には樹齢900年のイチョウの木が。町を一望する展望台に向かう途中、河原でみつけた石にも何かを感じたようです。そして、展望台から一望した美術館は、那岐山の裾野に抱かれるように町を広げた奈義町の中で、自然豊かな大地に根付いていました。奈義町の自然を体感した後に美術館に戻った旅人、二度めの作品と向き合った感想とは?

紹介作品:宮脇愛子の「うつろひ」、岡崎和郎「HISASHI 補遺するもの」、荒川修作&マドリン・ギンズ「遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体」ほか

取材協力:奈義町現代美術館