第45回  黒田清輝に鎧と兜 東京国立博物館【黒田記念館&本館】(東京・上野)

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●黒田清輝に鎧と兜 東京国立博物館【黒田記念館&本館】(東京・上野)
日本の美術館の魅力を纏めた一冊の本『フランス人がときめいた日本の美術館』。著者でフランス人の美術史家ソフィー・リチャードさんのメッセージをヒントに、女優野村麻純が日本の美術館の魅力を再発見するトキメキの旅へ。今回の舞台は、日本の芸術を広く知れる場所、東京国立博物館&黒田記念館です。

●日本近代洋画の父と言われた黒田清輝の記念館
昭和3年、美術教育のために役立ててほしいという黒田清輝の遺志を実現するために建てられた美術館。設計は、旧歌舞伎座や明治生命館などを手掛けた大正・昭和を代表する建築家、岡田信一郎。2002年東京都有形文化財に指定されました。

●日本美術館に新風を巻き起こした画家
もともと法律を学ぶためにフランスに留学した黒田清輝は、ラファエル・コランに出会ったことがきっかけで絵の世界へ。西洋美術の基礎を学び、フランス芸術家協会に出品した「読書」がわずか4年で入選するなどその頭角を現します。フランスで認められ日本に帰国した黒田は、東京美術学校(今の東京藝術大学)に初めてできた西洋画科で後進の育成に力を注ぎます。日本で初めてヌードのデッサンを取り入れ、当時タブー視されていたヌード画を日本人モデルで描いた「智・感・情」を発表するなど、西洋絵画の基本を日本へ広げることに尽力します。明るい外光を取り入れた、軽やかな色彩の絵「逍遥」を発表し、当時の日本で主流だった脂派(ヤニ派)と呼ばれるくらい画風に対し、「紫派」と呼ばれ、日本美術界に新風を巻き起こしました。

●画家、黒田清輝の意外な一面
黒田が多忙な中で時間を見つけては別荘で描いたという「雲」。手軽な木の板に思いつくままを写生した作品。黒田には身近な題材の小さな絵が数多く残されています。洋画の基礎デッサンよりも解放された自然な絵、黒田の意外な一面を見ることができます。

●東京国立博物館 本館では美術品としての甲冑の展示を見る
美しい鎧で戦うことは武士にとって、とても重要だっという甲冑。実用品でであり、美術品である甲冑の変遷を見ていく。

紹介作品:黒田清輝「湖畔」「智・感・情」「椅子による女」「逍遥」「雲」、甲冑より「金小札紅糸中白威腹巻」「赤糸威鎧」「仁王胴具足」「裾濃威筋兜」ほか

取材協力:東京国立博物館