第46回  モネ、マティス、ゴッホ~愛とやすらぎのために~『ひろしま美術館』(広島)

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●モネ、マティス、ゴッホ~愛とやすらぎのために~「ひろしま美術館」(広島)
日本の美術館の魅力を纏めた一冊の本『フランス人がときめいた日本の美術館』。著者でフランス人の美術史家ソフィー・リチャードさんのメッセージをヒントに、女優で脚本家の近衛はなが日本の美術館の魅力を再発見するトキメキの旅へ。今回の舞台は、広島市民の憩いの場であり続ける「ひろしま美術館」です。

●悲劇的な被害を受けた街で芸術を鑑賞する喜びとやすらぎを
開館は1978年。印象派を中心に、19世紀はじめのロマン主義から20世紀前半のエコール・ド・パリまで、西洋近代美術150年を通覧する300点近いコレクションを誇ります。その多くを集めたのが、初代館長の井藤勲雄。自身が被災者であった井藤は、原爆投下の惨禍から復興しつつあった広島の地に心の平安と安らぎを与え、そして新たな想像をはぐくむ場として構想しました。ドーム型の本館は、原爆ドームをイメージしたもの。鎮魂の願いが込められています。

●印象派の巨匠・モネが描いた霧と光
訪れたときには、ポーラ美術館との共同企画展を開催していました。ひろしま美術館を代表する作品の1つ、モネの「セーヌ河の朝」。連作という手法で描かれた、あの「睡蓮」の先駆けとも言える作品です。光を描き続けたモネがこの作品でこだわったのは、霧に立ち込める光でした。霧への興味は、ポーラ美術館所蔵の「国会議事堂、バラ色のシンフォニー」を経て深まっていきます。モネが描いた霧と光は、どこか穏やかな気持ちにさせてくれる不思議な絵でした。

●美術館が誇るゴッホの代表作「ドービニーの庭」に纏わる消えた黒猫のミステリー
亡くなる2週間ほど前に描かれた、ゴッホ最晩年の代表作の1つ「ドービニーの庭」。同じ庭を描いた別の作品と比べると、庭のなかに、周囲と色が異なる箇所が...。黒猫がいないのです。ひろしま美術館は黒猫の痕跡を探すべく、大学などと連携し、本格的な調査に乗り出しました。果たしてその真相は?番組では、ゴッホの絵から見えてきた真実から、巨匠ゴッホの素顔に迫ります。

紹介作品:モネ「セーヌ河の朝」「国会議事堂、バラ色のシンフォニー」、マティス「ラ・フランス」、ゴッホ「ドービニーの庭」「草むら」、ルノワール「麦わら帽子の女」ほか

取材協力:ひろしま美術館、ポーラ美術館