第57回  北野天満宮 ~御手洗、清めと祓いのルーツ~

解説:西山 剛(京都文化博物館 学芸員)

新型コロナウイルスの感染予防に効果があると言われている手洗い。日本人に脈々と受け継がれている手洗いの習慣は、古来より伝わる信仰と結び付く神聖な行為だった。 今回は、北野天満宮に伝わる水にまつわる神事を紹介する。
菅原道真を御祭神とする北野天満宮は、学問の神様、武道の神様として知られているが、祓いや清めの信仰を受け継ぐ神社でもある。衣笠山から発する清らかな川に挟まれた聖なる地に築かれた社には、水にまつわる神事や風習が伝わっている。その一つが毎年7月から8月にかけて行われる七夕神事。体についた穢れを洗い流すという祓いの祭りである。そして清めの神事として伝わるのが御手水神事。手を洗うことが神聖な禊の行為であることを示す、北野天満宮にとって大変重要な神事だ。専門家の解説を交え、北野天満宮に伝わる水の信仰について紐解く。

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