第70回  新たな国宝・八坂神社~歴史と文化が残る界隈を訪ねる~

解説:井上 満郎(京都市歴史資料館 館長)

今回は、令和2年10月に国宝に指定された八坂神社を中心に紹介する。
京都市東山区の八坂神社は、西暦656年の創祀と伝わる古社で、本殿が国宝に指定された際、摂社や末社などの26棟も重要文化財となった。疫病退散にご利益がある「疫神社」や、女性に人気の「美御前社」などをめぐり、八坂神社の魅力を掘り下げる。
また、八坂神社とその周辺には知られざる「始まりの物語」が数多く伝えられている。表参道にある中村楼には、京都で初めて外国人旅行者向けの西洋風料理を手がけたという話が残っている。メニューに書かれている「羊のビーフステーキ」とは一体?店主の話を交え、当時に思いを巡らす。
さらに、円山公園に隣接して建つレトロな洋館「長楽館」にも足を延ばし、明治のたばこ王・村井吉兵衛の美意識に触れる。

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