第72回  嵯峨釈迦堂に春の風~清凉寺の国宝に秘められた千年の誓い~

解説:榎本 渉(国際日本文化研究センター)

今回は、1000年前に交わされた約束から始まる、海を越えた国宝・釈迦如来立像の物語を紹介する。
京都市右京区にある清凉寺は、別名嵯峨釈迦堂とも呼ばれ、本堂に安置されている釈迦如来立像は古くから京都人々の信仰を集めてきた。この仏像は、今から1000年前に奝然(ちょうねん)という1人の僧侶が中国から持ち帰ったもので、昭和29年に仏像の中から多くの納入品が出てきて世間を騒がせた。
すべて国宝に指定された納入品の中には、当時の中国の医学知識を知ることが出来るあるものが入っていた。世界最古のあるものとは一体?さらに、2人の僧侶の誓いを記した結縁状も発見された。そこに書かれていた大いなる志とは?
奈良の東大寺や京都市北区にある上品蓮台寺にも足を延ばし、国宝・釈迦如来立像が伝える1000年前の壮大な夢を紐解く。

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