第73回 嵐山から吉野へ!稀代の帝王・後醍醐天皇ゆかりの地
解説:大田 壮一郎(立命館大学文学部 教授)
今回は、波乱の生涯を送った後醍醐天皇ゆかりの地をめぐる。
最初に訪れるのは、京都市右京区にある臨済宗天龍寺派大本山天龍寺。足利尊氏が後醍醐天皇の菩提を弔うために創建した寺で、桜をこよなく愛した後醍醐天皇を偲び、天皇を祀る多宝殿のまわりは多くの桜が取り囲んでいる。毎年春になると、美を競い合う桜が訪れる人の目を楽しませてくれる。
次に向かうのは、京都府南部に位置する笠置山。後醍醐天皇が幕府の追手を逃れて辿り着いた場所で、元弘の変の舞台となった。山頂付近には巨大な岩が点在し、今は消えてしまった弥勒摩崖仏がある。なぜ消えてしまったのか、その謎に迫る。
最後に向かうのは、日本屈指の桜の名所である奈良県吉野山。建武の新政が頓挫し都から追放された後醍醐天皇が南朝を開いた地で、天皇の住まいのあった金峯山寺やゆかりの品が残る吉水神社を訪ねる。
独裁者のイメージもある後醍醐天皇だが、実際はどんな人物だったのか。専門家の解説を交え、桜舞うゆかりの地で稀代の帝王の生涯を紐解く。