#1  【記憶】前編

JacksonBrodie_01

元警察官のジャクソン・ブロディは、愛娘のマーリーと訳あって別居している。"ブロディ私立探偵社"を営んでいる彼は、警察の調査能力を凌ぐに勝る。不倫調査中であっても、"空想の黒ネコ"捜しをビンキー・レインに依頼される。彼女からの支払は一度もない。
ネコを捜していると、隣家から嗚咽を漏らしながら出て来る姉妹が居た。父親の遺品整理をしていたランド家の娘たち、姉のアメリアと妹のジュリアだ。30年前の夏の夜、末妹であるオリビアが失踪時に持っていた人形の"ブルーマウス"が父親の机の中から出て来たのだ。
末妹への想いが再燃する姉妹。隣家を覗いた事から、ブロディに新たな依頼が舞い込む。依頼内容は失踪したオリビアの行方を究明すること。
その最中、弁護士であるセオ・ワイアから、娘であるローラを殺した男の捜査に力を貸して欲しいと依頼される。不在のセオを狙い、居合わせた娘を殺された事に父親である彼は心を痛めていた。警察の捜査には介入できないと説得するブロディだったが、同じ父親としてセオからの捜査依頼を受けてしまう。
ブロディは捜査内容を聞き出そうと警察にいる元同僚のルイーズ・マンロー警部補を訪ねる。そこで、弁護士であるセオの30年分の担当した弁護人を調査中である事と、ランド家に関する思い掛けない事実を知らされる。それは、ランド家には事件後に修道女になっていた長女のシルビアの存在。四姉妹である事実をアメリアとジュリアに問うと、長女のシルビアは想像力が豊かで、隣家のビンキー・レインを魔女と呼び、よく彼女の庭に行っていたと聞く...。
ローラの友人から話を聞いたブロディは、ローラの身近には男の存在があり、彼女が犯人を知っていた可能性がある事をセオに示唆する。だが父親のセオは下世話なゴシップだと聞く耳を持たない。その場を去ろうとするセオは、怒りと興奮で倒れてしまう。彼を蘇生しようと奮闘するブロディ、そこには犬を連れた謎めいた少女が立っていた...。