第76回  京都・南山城の国宝~仏像ソムリエと訪ねる里山3か寺~

解説:小嶋 一郎(仏像ソムリエ)

今回は、京都府南部・南山城に伝わる国宝の数々を紹介する。
まず最初に訪れるのは、加茂にある浄瑠璃寺。1047年に創建された浄瑠璃寺には、当時流行した九体阿弥陀如来像が安置されている。九体の阿弥陀仏が堂内に並ぶのは、全国でも浄瑠璃寺しかなく、九体すべて国宝に指定されている。さらに、日本一の美女と讃えられる吉祥天女像も仏像ファンの人気を集めている。色白で優美な姿はいつまでも心に残る美しさだ。
次に訪ねるのは、京田辺市にある大御堂観音寺。こちらの国宝・十一面観音菩薩像は木心乾漆造のため、生身の肌かと見まごうばかりにしっとりとつやがあるのが特徴。手が届くほどの距離から見上げる神々しい姿に胸を打たれる。
最後に訪ねるのは、木津川市山城町にある蟹満寺。こちらの国宝は、高さ2.4メートル、重さ2トンの金胴製の釈迦如来坐像。このサイズの金胴仏は、全国に数例しか残っていないという大変貴重なもの。
のどかな田園風景を楽しみながら、美しい国宝の数々を仏像ソムリエの案内でめぐる。

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