第1話  33歳の焦燥

botabara_01.jpg 看護師の鏡子は三十三歳。お互いに束縛しないという約束で、建築家の豊樹と同棲して八年になる。年齢的なことも考え、鏡子は今、子どもが欲しくてたまらなかった。が、医師から妊娠しにくい体といわれ、焦燥感にかられる。豊樹は蒲原と「団設計事務所」を共同経営していた。若手の建築家のホープで、精力的に仕事に取り組む。ある夜、豊樹は「アルマ建設」のパーティーで、社長令嬢・富貴子と親しくなる。豊樹に一目惚れした富貴子は父・泰造に豊樹を紹介し、パーティーが終わった後、豊樹を割烹料理店「みはる」に案内する。店のママ・美晴は泰造の愛人だった。