第108回  紅葉の名所に伝わる歴史秘話~高台寺・圓徳院・青蓮院~

今回は、東山屈指の紅葉の名所を巡り、そこに伝わる歴史秘話を紐解く。
まず最初に訪れるのは、天下人・豊臣秀吉の正室、北政所ねねによって創建された高台寺。広大な敷地には伏見城から移築された秀吉ゆかりの建物が数多く残っており、2人で月見を楽しんだという観月台をはじめ高台寺蒔絵で有名な霊屋などをめぐり、夫婦の仲睦まじさが偲ばれるエピソードを紹介する。また大阪城落城の炎が見えたという2階建ての茶室にも立ち寄り、豊臣家の栄枯盛衰に思いを馳せる。
次に訪れるのは、ねねが亡くなるまでの19年間を過ごした高台寺の塔頭寺院・圓徳院。秋の風情を愛したねね好みの庭や長谷川等伯の描いた襖絵が見どころ。さらに秀吉の出世の願いを叶えたという三面大黒天像にも触れる。最後に訪ねるのは、東山区粟田口にある天台宗三門跡寺院のひとつ青蓮院門跡。池泉回遊式庭園の見事な紅葉をはじめ、「ライブ」な街に絵を描くことがモットーの壁画絵師・木村英輝氏による襖絵60面などが見どころ。
また、青蓮院の飛び地に建つ将軍塚青龍殿にも足を延ばし、奥殿に安置されている国宝の青不動(複製画)の謎に触れ、絶景スポットとして人気の大舞台からは京都市街を一望する。
かつて桓武天皇が都を定める時に見たであろう場所から、京都を舞台に活躍した古人の面影を偲ぶ。

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