第109回  秋の山科疏水をゆく~毘沙門堂・双林院・安祥寺~

滋賀県大津市から京都市山科区の山裾を通って蹴上へと流れる琵琶湖疏水。今回は、山科区を通る区間、通称「山科疏水」と呼ばれる疏水沿いを散策する。
まず最初に訪れるのは、京都五箇室門跡のひとつ毘沙門堂。御所から移築されたという宸殿の障壁画116面が見どころ。狩野益信が手がけた障壁画は「動く襖絵」とも呼ばれ、見る角度で机の向きが変化するなど見るものを飽きさせない。さらに霊殿の天井画にまつわる不思議な言い伝えも紹介。夜な夜な水を飲みに行く龍とは?
次に訪れるのは、山科聖天と呼ばれ親しまれている毘沙門堂の塔頭寺院・双林院。本堂には、秘仏・大聖歓喜天が祀られており、聖天の子供時代の姿という御前立ちの歓喜童子はテレビ初公開。ふっくらとして可愛い姿から秘仏への想像が膨らむ。さらに大聖歓喜天の好物という「清浄歓喜団」にも触れ、日本で唯一製造されている東山区の老舗和菓子店にも足を延ばす。
最後に訪れるのは、848年に開創された古刹、吉祥山宝塔院安祥寺。奈良時代後期に作られたという十一面観音菩薩立像などが見どころ。
秋たけなわの山科疏水沿いに伝わる文化財に触れ、芸術の秋を満喫する。

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