第29話  焦燥

ookamidenka_29.jpg 泰元城に着いた馬摘星は一刻も早く渤王と楚馗を討ちたいと焦っていた。しかし、溍(しん)王が楚馗討伐に乗り出す気配は見られない。寝食を忘れて兵書を読む馬摘星を心配した疾沖は自分が力になると言うが、馬摘星は巻き添えにしたくないと考える。前朝の屛芫(へいげん)公主が楚馗の殺戮を逃れて溍で生存していることを知った馬摘星は、前朝唯一の皇族として尊重される屛芫公主から派兵を訴えれば溍王も動くと考え、溍王の許しを得ることなく公主の居所に忍び込む。