第125回  愛宕ものがたり~愛宕神社と月輪寺

解説:吉村 晋弥(京都旅屋)

今回は、火伏の神様で有名な愛宕神社や随筆家・白洲正子が愛した月輪寺を訪ね、時を超えて語り継がれる愛宕山の物語を紐解く。
古くから山岳修行の霊場、国家鎮護の道場として栄えてきた愛宕山が、霊場として開かれたのは今から約1300年前のこと。現在火伏の神様として信仰される愛宕神社は、明治の廃仏毀釈までは白雲寺という寺院で山内には白雲寺六坊と呼ばれる6つの坊が建ち並んでいたという。山内のあちこちに見られる参拝客をもてなすための茶屋跡が、愛宕参りが盛んだった往時を偲ばせる。さらに跡地巡りを続け表参道を少し外れた広場へ向かうと、昭和初めに建てられたという廃墟が姿を現す。蔦の絡まる廃墟が伝えるものとは?
山頂の愛宕神社を参拝した後は、表参道を通らずに月輪寺方面へと下る。月輪寺には、白洲正子が愛した千手観音立像と空也上人像など見ごたえのある仏像がズラリと祀られている。京都市街を一望できる境内に立ち、自然と共生する住職の話に時がたつのを忘れる。
表参道から月輪寺をめぐる山道をプロのツアーガイドの案内で巡り、古より信仰の山として崇められてきた愛宕山の歴史に触れる。

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