第126回  狂言師と巡る能楽ゆかりの地~御香宮神社・因幡堂・豊国神社・彦根城

解説:茂山七五三(大蔵流狂言師)

同じ舞台で交互に上演されるのを常とした能と狂言は、合わせて「能楽」と呼ばれる伝統芸能。今回は狂言大蔵流五つの家の一つ茂山千五郎家一門の最年長、茂山七五三(しめ)さんと「能楽」ゆかりの地を巡る。
最初に訪ねるのは、毎年9月に「御香宮神能」が行われる御香宮神社。「ろうそく能」とも呼ばれる奉納能の歴史は古く、600年ほど前から能楽のルーツとされる「猿楽」が境内で行われていたことを起源とする。この神社の能舞台は七五三さんにとっても想い出の場所。楽屋には曾祖父の名が記された古い看板も飾られている。
続いては、「因幡堂」や「鬼瓦」といった狂言の演目の舞台となっている因幡堂へ。実在する寺院がこれほど多く狂言に用いられている例は他にない。その理由を住職に尋ねた七五三さんは、これまで知らなかった大蔵流の歴史秘話を教えられ、驚くことに。
豊臣秀吉を祀る豊国神社も「能楽」ゆかりの地だ。秀吉は天皇の前で自ら能や狂言を演じてみせたほどの「能楽」愛好家。秀吉が眠る豊国廟には「豊太閤三百年祭奉納能」の記念碑も残っている。全国から280人の能楽師が参加したこの一大イベントにも茂山千五郎家が深く関わっていた。
最後に訪ねるのは彦根城。城内にあった能舞台が彦根城博物館の中に移築されており、ここもまた七五三さんにとっては想い出の場所だ。京都に拠点を置く茂山千五郎家と滋賀県彦根市の城には、いったいどんな繋がりがあるのか?

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