第10話 意欲
どうしてもいがみ合いのたえない文彦と猛の仲をすっきりさせるため、和尚の提案で剣道の試合が行われることになった。勝った者には伝右衛門に愛用の木刀が与えられるというので、二人は真剣だった。ところが、剣の心得の全くない猛に文彦は閉口、これではまともな試合にならないと、途中で試合を放棄する。文彦の言い分にも一理があると思い直した和尚は、学校の成績で二人を競いあわせることに。猛は忙しい下働きの合い間をぬって、必死に勉強した。その結果文彦を抜く素晴らしい全甲の成績をあげることができた。伝右衛門は猛に、文彦を一生兄と思い助けてくれと頼み、愛用の木刀を与えた。