第11話  仲間

昭和十年春ー。猛が三枝家に来てから八年の歳月が流れた猛は十六歳の若者に成長し、既に一人前の働き手になっていた。ひかるは十三歳。この四月から甲府高等女学校へ入学することになっていた。二人は幼い頃と同じように純粋に慕いあっていたが、年頃になった二人が親しげにふるまうのを周囲の者は複雑な思い出ながめていた。そんなとき、猛とひかるは、色街に売られようとしている貧しい小作の娘はなと知り合った。ひかるはなんとかしてはなを助けるよう伝右衛門に訴えた。伝右衛門は娘の主張を聞き入れ、はなを女中として雇うことにした。