第16話 嫉妬
嵐の夜、ひかるのために遠出をした猛は、一晩中雨に打たれたのがたたって、肺炎を起こしてしまった。ひかるは自分のせいだと胸を痛め、猛を案じるのだったが、大人たちは傍らでつき添うことも許してくれなかった。やがて、猛の病も癒え、伝右衛門の長年の夢だった白部村の灌漑用水工事が始まった。猛は頭領に選ばれ、伝右衛門の期待も大きかった。猛を慕うはなは、工事現場の世話役を自分から申し出た。おおっぴらに一日中猛の傍にいるはなをひかるはうらやましく思った。嫉妬心から、はなにもっと優しくするよう猛に心にもないことをいってしまう。