第9話  別離

激情に身を駆られて三枝家を飛び出したものの、絹には行くあてなどなかった。気持ちを鎮めるため、三枝家の墓に参り、自分は夫とともに三枝家を守っていかなければならないと改めて自覚するのだった。そんな絹を、寺の親海和尚が暖かく見守っていた。その頃、今度は琴子が横浜へ帰ると三枝家をあとにした。伝右衛門が必死ひひきとめるが、報われない愛に疲れた琴子は、きっぱり自分の思いをたちきって、伝右衛門に別れを告げた。絹が家に戻り、三枝家には再び明るい笑顔が戻った。猛は小学校に行かれることになり、胸をはずませる。が、またしても文彦の嫌がらせが・・・。伝右衛門に買ってもらった真新しい学帽を汚されてしまう。