第17話  誘惑

文彦の悪友、信治がひかるにピアノを教えにくるようになった。秀才で、家柄のよい信治のことを絹はすっかり気にいった様子。猛はひかるが信治に好意を寄せるのではないかと不安に思い。ある夜、信治が文彦に頼まれたといって、絹に金を貰いにきた。絹は伝右衛門に内緒で金を渡し、猛を一緒についていかせた。着いたところは温泉旅館。文彦はまたも、女給の尚子を誘惑していた。猛がひかるにひかれていることを知っている信治は、自分がひかるを理想の女に育てていくと挑戦的に笑った。猛の中で、魂と肉体がバラバラになって暴れ回っていた。若い猛は性に対してもおおいに興味をそそられていたのだ。