第37話  予感

婚礼の前夜、猛はひかると駆け落ちしようとした。が、文彦の率いる追手につかまり、恩知らずとののしられる。翌日、ひかるは観念して、勇作のもとへ嫁いでいった。絶望した猛は、和尚に剃髪したいと申し出る。和尚は猛を一喝し、三枝家再興のために力をつくせと励ました。次の日の夜、伝右衛門は和尚と碁を打った。普段とはどことなく様子の違う伝右衛門に、和尚は不吉なものを感じた。猛に伝右衛門から目を離さぬよう注意するが、果たして和尚の予感は当たっていた。未明、伝右衛門は三枝家の墓前で自害。五十歳の波乱にとんだ生涯を自らとじたのだった。