第2話  

三代将軍には、家光が就いた。しかし実権は父・秀忠が握り、弟・忠長を推す母・お江与も画策を続ける。利勝は家光のために、歯向う大名を次々と潰し、政権・本多正純も失脚させた。非情なまでの所業だった。天賦の剣の才を持つ柳生十兵衛は、政治に没頭する父・宗矩に反発を感じていた。しかし宗矩には逆らえない。幼馴染みの家光と十兵衛が起こした"辻斬り事件"のスキャンダルを、宗矩が揉み消したからだ。宗矩の命に従って、十兵衛は隠密行動に就く。