第10話(終)
江戸の民衆は、又右衛門と数馬の壮挙を武士の鑑だと誉めそやす。しかし、又右衛門を訪ねた池田家・家老の荒尾志摩は「利勝殿は、両名を長く生きさせるよう、と仰った。それは暗に...」と頭を下げる。言葉とは裏腹に自ら死を選ぶよう、ほのめかしたのだ。意図を悟った又右衛門は、切腹を果たす。後日、十兵衛はすべてを悟った。それまでの不可思議な事件、卑怯な奸計は、すべて利勝による策略だったのだ。土井利勝は「宗矩に代わり、自分の右腕にならないか」と平然と言う。十兵衛は毅然としてそれを断り、剣の道に生きると言って去る。幕閣で権勢を誇った利勝だが、時代の流れで若年寄・松平信綱にその地位を追われつつあった。こうして"天下騒乱"を防いだ、3人の武士の戦いが終わった...。