第49話  落胆

勇作がヒカルを三枝家に迎えにきた。そのあとから、猛も勇作に用があるといってやってきた。今後も自分の会社をパイプとして、進駐軍放出の食料や物資を勇作に売渡してもよいという商談だった。ただし、一つだけ条件があるという。三枝家を当分事務所として使わせてほしいと。猛の真意がわからなかったが、勇作は一応承知。猛はかつて自分が使っていた屋根裏部屋で寝起きをすることになった。絹は勇作と手を組むようになった猛に、深く落胆した。そんな折、勇作が突然、腹痛を訴えて倒れた。急性虫垂炎だった。腹膜炎を起こしかけていたため手術は難航、ヒカルは一晩中勇作の看病を続けた。