第52話  疑惑

仕事で東京に戻った猛を、秀子が追っていった。二人は一夜をともにするかもしれないーひかるはどす黒い疑惑をどうすることもできなかった。不安な心を少しでも休ませるために、ひかるは思い出に満ちた屋根裏部屋へ上がってみた。すると、勇作のほしがっていた猛の入札価格関係の書類が机の上にー。ひかるの手がその書類に伸びたとき、猛がうしろに立っていた。まだ中身はみていないと主張するひかるに、猛は自ら入札価格を教えた。やがて、入札の日がきた。結果は一万円違いで勇作が落札。ショックを受けた猛は、荒涼とした心で秀子を抱く。