第59話  激化

三枝家の屋敷のことで、猛と勇作の争いはますます激化してきた。心を痛めたひかるは、もう一度勇作とじっくり話し合うため、大河原家に帰ることにした。勇作は喜び、三枝家の取り壊しを延期してくれた。静子はひかるにあわせる顔がないのか、仮病をつかって座敷にとじこもったままだった。ひかるはそんな静子に献身的に仕え、なんとか二人の溝を埋めようと必死だった。ある日、ひかるは新婚の秀子を訪ねた。一度ゆっくり話したかったのだ。敵どうしの夫をもつ二人の女の心中は複雑だった。ましてや一人の男を愛した二人の女では...。