第3回  第2部:脱藩 前編

万延元年三月三日、大老井伊直弼は江戸桜田門外で水戸浪士と薩摩浪士によって暗殺された。この事件によって、歴史はさらに幕末の風雲に突き進む。土佐でも武市半平太が「土佐勤王党」を旗揚げし、藩論を攘夷に変えようとしていた。竜馬も勤皇党に名を連ねるが、半平太のやり方には異論をとなえる。「人を殺してはいかん。他に道はある。それをみんなで考えるんじゃ!」長州きっての型破り、高杉晋作は言う。「今は藩内で戦っているときではない。われわれの敵は、幕府だ。それには、 藩にも、身分にも、とらわれないことだ。 即ち、脱藩の覚悟なくては、何事もなしえない」