#2 第一部 遥かなる故郷(後編)
元治元年(1864)、京では池田屋襲撃事件で新選組が衆目を集めていた。どんな出自のものでも腕さえ良ければ取り立てられるという。そんな噂が南部にも伝わる。この年、南部藩は大規模な飢饉に見舞われ、数千人の餓死者が出た。貫一郎の母も二人の孫に食べさせるために自ら食を断って餓死。三人目の子を宿したしづの入水自殺を止めさせた貫一郎は、単身脱藩を決行する。家族にひもじい思いをさせないためだった。
元治元年(1864)、京では池田屋襲撃事件で新選組が衆目を集めていた。どんな出自のものでも腕さえ良ければ取り立てられるという。そんな噂が南部にも伝わる。この年、南部藩は大規模な飢饉に見舞われ、数千人の餓死者が出た。貫一郎の母も二人の孫に食べさせるために自ら食を断って餓死。三人目の子を宿したしづの入水自殺を止めさせた貫一郎は、単身脱藩を決行する。家族にひもじい思いをさせないためだった。