第10話  母が暮らした屋敷

太医が多く住む朱雀街に引っ越した灼華は、母が生まれ育った家を突き止めようと行動を開始する。母によれば、庭に杏の木と池があったというが、近所をあちこち尋ね回ってもそんな屋敷はない。いまだに様子が分からないのは、隣の広々とした屋敷だけだ。灼華は夜中に大胆にもその屋敷に忍び込むが、思わぬ人物を見かけてたじろぐ。