第16話  

柳子の婚約が新聞に発表された夜、天堂は荒れた。したたかに酔ったあげく、介抱したくれたタカに襲いかかった。翌朝、自分を恥じた天堂はタカのとめるのもふりきって、下宿を出ていく。その日、天堂の会社に鳥彦が訪ねてきた。なぜ天堂が景清に刃向かうのか、理由を聞きにきたのだった。天堂は答えなかった。鳥彦は朝倉の跡を継ぐ以上天堂と闘うと宣言し、柳子に近付かないよう釘をさした。その夜から天堂が身を寄せたのは、粗末な木賃宿だった。復讐心をゆるめないように、いつもギリギリの所に自分を置く天堂のやり方に、山下は苦笑いをする。