第19話  

正月の朝倉邸に鳥彦から、今夜急に出発することになったと電話がかかってきた。柳子は見送りにいくと言うが、鳥彦は辛くなるといって断った。鳥彦は帰国したら天堂と決着をつけるから、柳子のことを守ってほしいと津川に頼んだ。陸軍が、葡萄園を飛行場にするため土地を明け渡せといってきた。景清は天堂の画策に違いないと激怒、天堂は面白いことになってきたとほくそ笑む。そんな景清のところに気になる人物が出入りしていた。ドイツの新聞の特派員、シュミットで、彼はスパイの疑いをかけられていた。私服の憲兵が邸内をうかがっているので、柳子は心配。