第24話
家宅捜査のため、憲兵が朝倉家に乱入してきた。悔しさのため泣き崩れる貴久子。津川は"密告者"天堂を心の底から憎んだ。景清が心筋梗塞で倒れ、陸軍病院に移された。一人だけ面会が許可されたので、柳子が行くことになった。平沼が景清に渡してほしいと、そっと一通の古い封書をさしだした。三十五年前の富士乃の手紙で、朝倉家のため平沼が隠していたのだった。手紙を読んだ景清はこれを天堂に渡し、誤解を解くよう柳子に言付けた。柳子は病院を出ると、その足で天堂を訪ねた。その頃、天堂は憲兵隊に呼び出され、景清と同じくスパイ容疑で暴行を受けていた。