第2夜  温かさが沁みる、ごぼう揚げ

村崎ワカコ、26歳、OL。仕事を終えると、うまい酒とうまい肴を求めて、女ひとり、酒場をさすらう。今宵の酒の肴は「ごぼう揚げ」。薄めの衣に塩をつけ、まずはそのスラリとしたフォルムをうっとりと眺める。噛むとシャクシャクとした触感。加熱されてもブレない歯ごたえ。噛むほどに香りが広がり、味はほのかに甘い。それを熱燗でしっとりと味わう。至福の時を過ごすワカコ。するとそこに、偶然にもある人が現れ...。