第30話  

別れの夜、天堂と柳子は互いの愛を確認し合った。スパイの教育を受けることに決めた天堂は、景清に誇れる男になりたいと言い、柳子はそんな天堂をいつまでも待っていると答えた。翌朝、天堂は憲兵隊に出頭していった。一方、朝倉家では深刻な問題が起こっていた。景清が葡萄園経営のため屋敷を抵当に銀行から借金をしていたことががわかり、その返済期限が迫っていた。八方手をつくしても返済のめどがたたないので津川は不本意ながらも天堂がくれた柳子名義の貯金を借りることにした。但し、あくまでも貴久子には内緒に。津川は貴久子の要望で朝倉家の後継者になることを承知した。